LOCAL FOOD CONTENTS
「九州の味とともに」
守り伝えられてきた九州の郷土料理


上品で脂がのった
幻の高級魚・アラ
その旨味を
すべていただく鍋料理
あら鍋
福岡をはじめ九州で『アラ』と言えば『クエ(ハタ科の海水魚)』のこと。希少な魚のため、“幻の高級魚”と呼ばれる食材で、これを使った鍋料理が『あら鍋』だ。
アラは大きなものは体長1mを越え、重さも20kgを超える。表面は黒い色合いだがウロコがついた皮をはぐと一転、白い身が現れる。大型のものは身も厚く脂ののりもいいので特に美味。身と皮の間にはゼラチン質もたっぷりと含まれている。身を刺身にしたり、焼いたりする他、内臓やえらや皮までも食べることができ、捨てるところがない魚だ。『あら鍋』に使うのは骨付きのぶつ切り。昆布出汁やアラの骨からとった出汁などがはられた鍋に入れ、野菜と一緒にポン酢で食べる。やわらかく弾力のある身とトロトロのゼラチン質のハーモニーが、アラならではの味わいを感じさせてくれる。
具材を食べ終わったら、締めは雑炊。アラや野菜の旨味が溶け出した出汁はごはん一粒一粒に染み込み、アラの美味しさがさらによくわかる一品だ。『あら鍋』がよく知られているため、冬のイメージが強いアラだが、実は年中獲れる魚。夏のアラも大型のものは脂がのっていて冬と変わらず美味しいのだそうだ。