九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

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LOCAL FOOD CONTENTS

「九州の味とともに」

守り伝えられてきた九州の郷土料理

冬の味

からすみ

ボラの真子から
生まれる
べっこう色に輝く珍味

からすみ

『からすみ』は、ボラの真子(卵巣)を塩漬け、塩抜き、天日干しして作られる長崎の珍味。製法の起源は古代ローマ時代の地中海沿岸とされ、安土桃山時代に中国から日本に伝わったと言われている。当初はサワラなどの真子でも作られていたようだが、江戸時代以降、長崎近海でよく獲れるボラの真子で作られるようになった。名前は、形が中国の墨である『唐墨(からすみ)』に似ていることに由来するという説もある。

薄く切った『からすみ』を口に運ぶと、もっちりとした食感と独特の旨味が広がる。塩味も効いており、甘い香りと味わいを持つ芋焼酎のつまみにぴったりだ。『からすみ』の横に盛りつけられることが多い大根と一緒に食べれば、その個性はさらに際立つ。『からすみ』を軽く炙って食べたり、ほぐしてパスタに合わせて食べても美味。
真子の表面に残る血を取り除く下ごしらえや、各工程を丁寧に行なうことで、きれいなべっこう色に輝く『からすみ』。手順は同じでも、塩漬けのやり方や、塩抜きのやり方(水、日本酒、焼酎に浸すなど)、干し加減などで味わいの差が生まれる。

他国の『からすみ』

イタリアの『ボッタルガ』、台湾の『烏魚子(オーヒージー/台湾語)』、中国や台湾の『油魚子(ヨウユーズー/北京語・イウヒージー/台湾語)』などは『からすみ』と同じ製法の食品。長崎の『からすみ』はボラの真子を使うが、他の地域ではボラ以外の魚の真子も使われている。