九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

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LOCAL FOOD CONTENTS

「九州の味とともに」

守り伝えられてきた九州の郷土料理

冬の味

かっぽ鶏

竹の器に
鶏肉と野菜を詰めて
そのまま火にかける
豪快な料理

かっぽ鶏

神話と伝説の街として知られる宮崎県高千穂町。この地方では竹のことを『かっぽ』と呼ぶ。かつて、農作業の合間に竹を器代わりにして湯を沸かしお茶を入れたり、竹を水筒として使うなどしていたが、水を注ぐ時に“かっぽかっぽ”という音がするのが、その由来のようだ。かっぽ(竹)を器として使う料理が『かっぽ鶏』。竹が豊富にある高千穂町では、昔から食べられている。

竹の節と節の間の一部をくり抜き、そこに下味をつけた鶏肉や野菜などを詰める。くり抜いた部分をふたのようにしてかぶせ、竹ごと火にかける。具材は竹の中で蒸されるようにして、ゆっくりと熱が通っていく。そこに、竹から出る香りとエキス(油分)が加わり、まろやかで独特な味わいとなっていく。竹の風味を楽しむ料理でもあるため、器に使う竹は、エキスが出やすい1年ものの若い真竹(まだけ)がよいのだそうだ。竹の器を使うことと、鶏肉を入れること以外は、特に決まりはない。具材も味付けも自由だ。

竹と具材の旨味のハーモニーをより楽しむために合わせたいのが『かっぽ酒』。ななめに切った竹の器に焼酎を入れ、そのまま火にかける。水で割らずに、ストレートのままで温めるのが高千穂流だ。注ぐ度に聞こえる“かっぽかっぽ”という音が、『かっぽ鶏』をより美味しくしてくれる。

高千穂町と竹

高千穂町は総面積の8割以上が山林であり、竹も多く生えている。古くから、家の材料や籠などの生活道具としても使われてきた。神楽の飾り付けや小道具作りにも重要な素材だ。『かっぽ酒』や『かっぽ鶏』などが生まれた背景には、竹が豊富に自生していたことがあげられる。

かっぽ茶

竹を器として使った最初は、竹の器で湯を沸かしお茶を飲んだことだったと言われている。かつて、高千穂町でも焼き畑が盛んに行われており、焼いた後、山茶が自生していたのだという。その葉をたき火であぶり、竹の器で沸かした湯の中に入れて飲んでいたとのことだ。