LOCAL FOOD CONTENTS
「九州の味とともに」
守り伝えられてきた九州の郷土料理


干すことで凝縮された
タコの旨味を
ごはんと合わせた
天草の郷土料理
たこめし
天草市有明町の夏の風物詩は干しダコ作りの風景。広げられて潮風に揺れるマダコの姿を、国道324号線を車で走っていても見ることができる。有明町では、タコによる街おこしも行なわれており、国道は『ありあけタコ街道』とも呼ばれ、巨大なタコのオブジェも作られている。『たこめし』は、この有明町で古くから食べられているタコ料理だ。
『たこめし』には生のタコを使うこともあるが、現在は干しダコを使うことが多い。干すことで、タコの旨味が凝縮され、より美味しい『たこめし』を作ることができるからだ。
まず、干しダコを水や湯で戻して小さく刻む。そして、ここからの作り方は“混ぜごはん”タイプと、“炊き込み”タイプの2通りがある。“混ぜごはん”タイプは、刻んだタコ、ゴボウ、ヒジキなどに、醤油やみりんを合わせ、煮汁で煮て味付けし、それをごはんに混ぜこんでいく。“炊き込み”タイプは、刻んだタコ、ゴボウやヒジキなどの具と米を釜に入れて炊き上げる。こちらは、途中で味見ができないので、水加減と、そこに加える醤油や、みりんなどの調味料の加減が味を左右する。
ごはんにもタコの旨味が染み込んだ『たこめし』。かむほどに、口の中にその旨味が広がっていく。有明町では、祝いの席などに今も欠かせない郷土料理だ。