LOCAL FOOD CONTENTS
「九州の味とともに」
守り伝えられてきた九州の郷土料理


干潟の風味も
欠かせない
かめばかむほど
深く感じる貝の味
うみたけ一夜干し炙り
『うみたけ』は二枚貝の仲間。長さ10cm、厚さ5cm程度の大きさの殻から、30cmほどの太い水管(すいかん)が伸びだしている(貝は水管から海水を吸って養分を取り入れ消化し、不要となったものを水管から排出する)。円すい形の水管をタテに開き、一夜干ししたものを炙って食べるのが『うみたけの一夜干し炙り』。有明海沿岸では、昔からよく食べられている郷土料理だ。
水管の先端だけを海中に出し、砂地や泥地に生息しているので、水管の外側は黒い。きれいに洗えば白くなるのだが、この黒い部分に残る泥の風味が、『うみたけの一夜干し炙り』には欠かせない。したがって、開いたものの内側はきれいに洗うが外側は軽くしか洗わずに一夜干しにする。
反ってしまわないように、まず内側から炙り、外側を炙る。裂いて食べるのはスルメに似ているが、スルメよりもはるかに濃厚な味わいと独特な香りが口の中に広がる。一夜干しすることで、旨味が、より濃縮された一品となる。
かつて、有明海では『うみたけ』漁が盛んだったが、生息数が減少してしまい、回復を目指して漁は禁止となっている。現在、食べられているのは外国産のものだ。