LOCAL FOOD CONTENTS
「九州の味とともに」
守り伝えられてきた九州の郷土料理


干満差の大きな
有明海が育んだ
とろけるように
やわらかな身
クチゾコ
干潟ではねるムツゴロウをはじめ、ワケノシンノス(イソギンチャク)、メカジャ(ミドリシャミセンガイ)など、ユニークな名前で呼ばれる海の幸が豊富な有明海。不思議な語感を持つ『クチゾコ』もその一つで、有明海で獲れるシタビラメの仲間だ。形が“靴底”に似ているから『クツゾコ』、それが訛って『クッゾコ』、『クチゾコ』という呼び名になり、佐賀や柳川など有明海沿岸の地方で親しまれるようになったと言われている。
一番よく知られている『クチゾコ』の食べ方は煮付け。出汁、酒、醤油などで作る煮汁に入れて味がほどよく染みるように煮込む。とろけるような口あたりのふっくらとした身が美味だ。この味わいの特徴は、浅くて波が荒くない有明海に棲むからこそ生まれるもの。煮付け以外では、唐揚げやムニエルなどにしても旨い。店によっては、11月から12月には刺身をいただくこともできる。
一言で『クチゾコ』と言われることが多いが、『アカクチゾコ』『クロクチゾコ』『ササクチゾコ』など、見た目も味わいも異なる『クチゾコ』が存在している。また、それぞれ季節によっても味わいは異なるようだ。特に身が美味しいと言われるクロクチゾコは、夏から秋にかけてが、身に脂ものってより美味しくなる。