LOCAL FOOD CONTENTS
「九州の味とともに」
守り伝えられてきた九州の郷土料理


鶏肉の旨味が広がる
味噌仕立ての汁物
野菜もたっぷりの
家庭料理
さつま汁
『さつま汁』は鹿児島で昔から親しまれている味噌仕立ての汁物料理。中に入っている具材や味付けなどは豚汁によく似ているが、豚肉ではなく鶏肉が使われていることが大きな特徴だ。かつて鹿児島地方では闘鶏が盛んに行なわれており、負けた鶏を野菜と一緒に煮込んで食べたのが、この料理の始まりだとも言われている。江戸時代より観賞用・闘鶏用に飼育されてきた『薩摩鶏』という種類の鶏(現在は天然記念物)が存在するが、『さつま汁』の名称との関係は定かではない。
材料は鶏肉(脂がのって旨味が深い、もも肉を使うことが多い)、大根、ニンジン、ゴボウ、コンニャク、シイタケなど。サツマイモやサトイモなどが入れられることもある。材料を1cm角ほどに切り、やわらかくなるまで出汁でゆでた後、味噌で味を整え、ネギをちらしてできあがり。家庭では身近にある材料を使い簡単に作られているが、飲食店では素材を吟味したり、具材を別々に下ゆでしたり、出汁に手間をかけたり、仕上げにショウガの搾り汁を入れたりするなど、より洗練した味を作り出している。
味噌の風味の中に広がるのは、鶏肉と野菜の旨味。身体も温まるし野菜もたっぷりで、毎日でも食べたくなるやさしい味わい。家庭で食べられ続けてきた理由だ。