九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

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LOCAL FOOD CONTENTS

「九州の味とともに」

守り伝えられてきた九州の郷土料理

秋の味

いもんせんの煮しめ

サツマイモから生まれたもちもち感
種子島で愛され続ける
素朴な味わい

いもんせんの煮しめ

『いもんせん』とはサツマイモからつくられるデンプンのこと。種子島では今でも一般的な食材だ。かつては、サツマイモを薄く輪切りにして干し、それをすりつぶして粉状にしていたことから、その呼び名の由来は“芋の繊維”から来たものだと言われている。種子島ではサツマイモのことを『からいも』と呼ぶことも多いため、『からいもせん』と呼ばれることも多い。また、単に『デンプン』と言われることもある。

『いもんせん』を水で溶き、熱して油をひいたフライパンに入れて火を加えながら混ぜる。やがて白濁した液体はかたまり、表面はカリカリ、中はもっちりとした透明のものになる。これを切り分け、野菜等を煮込んであらかじめつくっておいた煮しめに入れ、煮汁の味を染み込ませれば『いもんせんの煮しめ』のできあがり。煮しめにせず、焼き上がったものにショウガ醤油をかけたり、黒蜜をかける食べ方も一般的だ。煮しめにする時と、焼いたものを食べる時では、『いもんせん』と水の割合は変えている。

独特のもっちりとした食感の中で広がるのは、具材の味も溶けこんだ煮汁の旨味。『いもんせんの煮しめ』は、家庭でもよくつくられ、冠婚葬祭など人が集まるところでは必ず食べられる種子島の素朴な郷土料理だ。