九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

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LOCAL FOOD CONTENTS

「九州の味とともに」

守り伝えられてきた九州の郷土料理

秋の味

かすよせ

もっちりした食感+
米と大豆の粒々感
野菜の旨味も加わった
素朴な山里の味

かすよせ

熊本県の東部に位置し、江戸時代に造られた石組みの水路橋『通潤橋(つうじゅんきょう)』で知られる山都町(やまとちょう)。この町で古くから食べられている郷土料理が『かすよせ』だ。

一見、白和えのようにも見えるが、全く別なもの。“和風リゾット”と言ったほうが近いかもしれない。

鶏肉や、ニンジン、シイタケなどの野菜を炒めた後、一晩水につけてやわらかくした大豆を、ミキサーで細かく砕いたものと、水を加える。さらに米を加えて焦げないように混ぜながら、醤油・みりんなどで味付けする。水分が抜け、ほどよく粘りが出たらできあがり。地域によっては、カボチャが必須だったり、反対にカボチャを入れてはいけなかったりと、材料が異なるのもおもしろい。また地域によっては『おしよせ』とも呼ばれている。

この地方ではおからのことを“かす”と呼んでいたことや、様々な野菜の余りを入れていたことから『かすよせ』という名前がついたようだ。米が貴重だった頃、大豆を加えることで量を増やした料理だったとも言われている。もっちりとした中に感じる、米と大豆の粒々感、野菜の旨味…起源は定かではないが、先人たちの知恵から生まれたやわらかな味わいは、身体に染み入ってくるようだ。