LOCAL FOOD CONTENTS
「九州の味とともに」
守り伝えられてきた九州の郷土料理


アツアツの土鍋
の中には
海の幸、山の幸
島原の恵みに彩られた
具だくさんの雑煮
具雑煮
ふたを開けると湯気がフワリ。土鍋の中には、鶏肉、野菜、カマボコ、高野豆腐、もち…幾種類の具材が入っているか指折るのも楽しい。『具雑煮』は、お正月はもちろん、ハレの日に食されてきた島原の郷土料理。今では、ハレの日でなくてもよく食べられており、観光客の人気も高い。各店、各家庭によって具材も出汁の取り方も様々。島原特産の白菜である『シロナ』を使うことは多いが、決まった材料や作り方があるわけではなく、たくさんの具材が入っているから『具雑煮』なのだ。出汁をとる時に使う水は、たいていの場合、島原の美しい湧水。自然に育まれこの水も『具雑煮』に欠かせないものだ。
その歴史は古く、江戸時代には既に作られていたのだという。島原の乱(1637年)の時、原城に籠城した天草四郎率いる一揆軍が、兵糧として持ち込んだ食材で作ったのが始まりという説もある。
「フーフー」。舌を火傷しないように少し冷ましながら、土鍋から直接いただく。島原の海の幸、山の幸の優しい味わいが身体をあたためてくれる。具材の旨味もたっぷりと染みだしたツユは残してはもったいない。島原を思いつつ、最後の一滴まで味わいたい。