LOCAL FOOD CONTENTS
「九州の味とともに」
守り伝えられてきた九州の郷土料理


だんだんと溶けていく
木綿豆腐
嬉野の湯が作る
とろける舌ざわり
温泉湯豆腐
日本三大美肌の湯でも知られる嬉野温泉。ナトリウムを多く含む重曹泉で、湯につかれば、弱アルカリ性のお湯の力で肌はツルツルスベスベに。そして、この温泉水で木綿豆腐をコトコト炊くと…豆腐の表面がだんだん溶け出して、不思議な湯豆腐ができあがっていく。これは嬉野の温泉水に含まれる成分の絶妙なバランスが、豆腐に含まれるたんぱく質を分解するからなのだ。通常の豆腐は炊けば次第に固くなってしまうが、嬉野の温泉湯豆腐は炊くほどにやわらかくトロトロになる(ただし、炊き続ければ溶けて形をとどめなくなってしまう)。江戸時代、嬉野が長崎街道の宿場町として栄えていた時代に食べられていたという説もあるが、定かではない。
溶けた豆腐でお湯が白濁し、豆腐の角が丸くなってきたら食べ頃だ。くずれないようにそっとすくって、口に運ぶ。まろやかで、とろけていく食感。その後に大豆の旨味が広がっていく。豆腐を食べ終わったら、鍋の中に残った、コクのある“白いスープ”も残さずに味わいたい。旨いだけではなく、嬉野の温泉水は、胃腸や肝臓などの機能を活性化させる効果もあると言われている。