九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

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LOCAL FOOD CONTENTS

「九州の味とともに」

守り伝えられてきた九州の郷土料理

冬の味

ぬか炊き

ぬか床を加えた煮汁で青魚を煮る…
城下町・小倉に伝わる郷土料理

ぬか炊き

日本に古来から伝わる発酵食品であり、ビタミンやミネラル等が豊富で、栄養価も高いぬか床。『ぬか床』にキュウリなどの野菜を漬け込んで作る、ぬか漬けに使われることでよく知られるが、福岡県・小倉の郷土料理“ぬか炊き”は、ぬか床を調味料として使う保存食だ。江戸時代の初め、小倉藩主・小笠原忠政公が、前任の信濃国から、ぬか床を持ち込んだことで、ぬか漬け、ぬか炊きが小倉に広まったと言われている。

ぬか床の材料は、米ぬか、昆布出汁、山椒の実、唐辛子など。ゼロから新しく作ることも可能だが、小倉では嫁入り道具として、母から子へ引き継がれ、育てられてきたものも多い。数百年に渡って、材料を追加しながら大切に守られている、ぬか床もあるほどだ。

『ぬか炊き』は、まず、青魚であるイワシやサバをさばき、醤油、みりん、砂糖などを加えた煮汁で煮る。ある程度火が通ったら、ぬか床を入れて、とろ火でコトコトと炊いていく。青魚特有の臭みは抜け、代わりに、ぬか床の旨味が染み込む。その旨味は、ぬか床の材料である、山椒や唐辛子の風味に加え、ぬか漬けを作る度にぬか床に蓄積される野菜のエキスによって生まれるものだ。日々かき混ぜられ、我が子のように育てられているぬか床があってこそ、美味しい『ぬか炊き』が生まれるのだ。