LOCAL FOOD CONTENTS
「九州の味とともに」
守り伝えられてきた九州の郷土料理


栄養豊かな猪肉と
たっぷりの野菜
身体の芯から
あたたまる鍋料理
猪鍋
熊本県の山間部には野生の猪が多数生息する。タンパク質やビタミンB群を豊富に含む猪肉は山間部では昔から栄養源としてよく食べられていた。猟が解禁となる秋から冬にかけて、猪肉は脂がのり美味しい季節。寒い時期、猪肉と白菜やゴボウなど旬の野菜をたっぷりと使った鍋料理が『猪鍋』だ。
醤油仕立て、味噌仕立て、水炊き風、すきやき風など味付けは様々。薬味として爽やかな香りとピリリとした辛さを持つ柚子こしょうが添えられることが多い。血抜き、毛抜き、解体などきちんと下処理された猪肉には臭みなどはない。かむほどに赤身と脂身の歯応えと濃厚な旨味が口の中に広がっていく。地域や作り手によって使われる猪肉には皮付きと皮なしがあるが、皮付きの肉は皮のコリコリとした独特の食感を楽しむこともできる。猪肉と野菜の旨味が溶け出したスープで食べるうどんや雑炊といった締めの一品も最高だ。
野山を駆け抜ける野生の猪は木の実など自然にあるものだけを食べるため、安全な食材だと考えられている。熊本では猪や鹿の肉を地域資源として有効に活用するため、『くまもとジビエ研究会』が2012年から活動を行なっている。