九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

LOCAL FOOD CONTENTS

「九州の味とともに」

守り伝えられてきた九州の郷土料理

夏の味

がん漬け

独特の風味と塩味、
ガリガリの食感
カニを丸ごと
すりつぶした珍味

がん漬け

『がん漬け』は干満差の大きい干潟として知られる有明海沿岸地域で昔から食べられている郷土料理。干潟に棲む小型のカニをよく洗った後で丸ごとすりつぶし、塩や唐辛子などと混ぜ合わせてねかせる塩辛の一種だ。『がに漬け』、『がね漬け』などと呼ばれることもある。『万葉集』の一節には、『がん漬け』の作り方を詠んだものがあるという説もある。

材料として使われるカニは地域によって違い、『マガニ』と呼ばれる『シオマネキ』や、『ツメアカ』や『カタシロ』と呼ばれる『アリアケガニ』などが主だ。作り手によって塩加減や唐辛子の量が変わり味わいが異なる。また、カニのすりつぶし方によって、ペースト状に近いもの、粒々感を残したもの、ツメや足の形までが残っているものなどがあり、食感も様々。冷蔵庫のない時代、塩を十分に加えることで保存食として重宝していたとのこと。現在は瓶詰めで物産館などで販売されている。

独特の風味と塩味、カリッとした食感はまさに珍味。焼酎のつまみにぴったりだが、地元ではご飯の上にのせて食べられることも多い。また、味噌汁に入れたり、パスタに加えたりと調味料的な使い方もされているようだ。

シオマネキ

甲羅の幅が20~40mm程度のカニ。オスの片方のハサミが大きいことが特徴。

アリアケガニ

甲羅の幅が20mm程度のカニ。ツメの先端が赤色をしている。