九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

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LOCAL FOOD CONTENTS

「九州の味とともに」

守り伝えられてきた九州の郷土料理

夏の味

エツ

筑後川と有明海が育む
初夏の味
淡白な味わいの中にある小骨の食感

エツ

初夏の筑後川。筑後川で生まれ、有明海で育ったエツは、産卵のために再び筑後川に帰ってくる。川を遡上するエツを狙った漁が解禁されるのは5月1日から7月20日まで。日本では筑後川の下流域でしか産卵せず、傷みも早いため、エツ料理はまさにこの時期、この界隈でしか食べられない。

エツは片口イワシの仲間で体長40cmほど。刀の形に似ていて淡白な味わいだが、ハモと同じように小骨が多いので、料理人が丹念に骨切りすることが欠かせない。そして、刺身、煮物、塩焼き他、様々な料理となって食される。淡白な身はどんな料理になっても、主役でありながらやさしい味わいで、料理の調和をこわさない。その中にあるコリッとした小骨の食感は、エツならではのもので、味のアクセントにもなっている。

エツにはこんな伝説が残っている。~始皇帝の命を受け不老不死の薬を求めてこの地を訪れた徐福(じょふく)が、生い茂る葦(よし)の葉を手でかき分けて上陸した時、筑後川に落ちた葦の葉がエツになった~

2000年以上も伝わる伝説を思いつつ、エツ料理に舌鼓を打つのもおもしろい…。