LOCAL FOOD CONTENTS
「九州の味とともに」
守り伝えられてきた九州の郷土料理


食材になり、
器にもなるはこふぐ…
焼けた味噌が
香ばしい漁師料理
はこふぐの味噌焼き
お腹を上に向けた四角い箱のような姿のはこふぐ、そのものが料理の器…ユーモラスな形の『はこふぐの味噌焼き』は、五島列島の漁師料理だ。
はこふぐは、トラフグのような『フグ科』ではなく『ハコフグ科』の魚。身や内臓に、トラフグの肝のような毒はない。ただ、身体の表面のぬめりには毒があるため、料理するにはまず表面をタワシでよく洗う。その後、一般的な魚のように三枚におろすことはできない。表面はウロコが変型した六角形の硬い板片に覆われ、甲羅のようになっている上、いわゆる中骨もそのウロコと一体化したようになっているからだ。比較的やわらかい腹の部分を包丁やハサミで切り取り、内臓をくり抜くように取り出した殻が、そのまま“器”となる。
作り手により味わいが違う特製味噌に、ネギやショウガなどを加えたものを、殻に詰めて焼き上げれば出来上がり。味噌の甘味と辛味に、はこふぐから溶け出した濃厚な旨味、さらには香ばしさも加わったその味は、最高の肴。ウロコの内側にくっついている身もプリプリした食感で、一緒に食べると美味。焼酎がいくらでも飲めそうだ。