九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

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LOCAL FOOD CONTENTS

「九州の味とともに」

守り伝えられてきた九州の郷土料理

秋の味

がね

細く切った
サツマイモを
ふわりと揚げた
家庭料理

がね

霧島連山に望む宮崎県・都城地方。都城をはじめとした霧島連山周辺はサツマイモの産地であり、『がね』はこの地方でよく食べられているサツマイモを使った家庭料理だ。

細く切ったサツマイモやその他の野菜に、味付けした衣を合わせ、油で揚げる。一見、野菜のかき揚げに似ているが、かき揚げは材料と衣をさっくりと混ぜて軽さを出すのに対して、『がね』は材料と衣をしっかりと混ぜ、カリッとした食感とともにふわりとした食感を出すのが特徴だ。南九州の言葉で『がね』とはカニのこと。揚がった材料を足に見たて、その姿がカニに似ていることから『がね』の名前がついたと言われている。

材料はサツマイモを入れること以外に決まりはない。よく使われるのはカボチャ、ニンジン、タマネギなど。サツマイモだけで作られることもあるし、山菜やゴボウなどの季節の食材、イリコや鶏肉などが加わることもある。味付けも砂糖をたっぷりと入れて甘めにしたものや、塩味を効かせたものなど千差万別。作り手によって材料も味わいも異なる、まさに母から子へとつながる家庭料理だ。

子どもにはおやつとして、大人には焼酎のつまみとしても食べられている『がね』。霧島連山周辺では人が集まる時には欠かせない料理として、幅広い世代に愛されている。