九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

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LOCAL FOOD CONTENTS

「九州の味とともに」

守り伝えられてきた九州の郷土料理

秋の味

田楽

つるの子いも、
豆腐、コンニャク…
囲炉裏に香り立つ
味噌の焦げ目

田楽

五穀豊穣を祝う神楽の一種、『田楽舞』。舞の後、人々が囲炉裏を囲み、串にさした様々なものを焼いて食べたことから『田楽』という名前がついた。日本各地で食べられているが、高森では700年前に食べられていたという記録があるそうだ。

高森田楽の特徴は、素材の一つに『つるの子いも』があること。鶴の首に似た形の里芋の仲間だが、阿蘇五岳の一峰、根子岳の麓だけで作られる。火山灰が堆積した肥沃ではない土壌でたくましく育つからこそ、深い甘味を持つ。このつるの子いもと、串に刺さるように固めにつくられた豆腐が、昔から食べられている高森田楽の一番基本的な素材だ。現在では、コンニャク、季節の野菜、ヤマメなども一緒に食べることが多い。

串に刺した材料を囲炉裏の炭火の横に立てて焼く。軽く焦げ目がついたら、味噌を塗って、再び炭火の横に立てて焼く。仕込んでから3年以上熟成させた『三年味噌』に、砂糖や山椒などを入れた山椒味噌が昔からの味だが、柚子味噌などを使う店もある。味噌にも少し焦げ目がつき、いい香りがしてきたら食べ頃だ。つるの子いもは、アツアツホクホクしていて身体もあたたまる。甘辛さと香ばしさは、焼酎によく合う味わいだ。