九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

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LOCAL FOOD CONTENTS

「九州の味とともに」

守り伝えられてきた九州の郷土料理

夏の味

旭蟹

朝日のごとく輝く
鮮やかな赤色
南国・宮崎で
いただく夏の蟹

旭蟹

ゆでたり蒸したりされて火が通った旭蟹。皿にのった姿は“蟹”と言われてイメージする形とは少し違う。スパナのようなはさみは薄く小さいし、足も短い。蟹ではあるが、“ヤドカリ”類にも近い存在で、横ではなく縦に動くのだという。

旭蟹は黒潮沿いの西日本の海(大隅半島の南から和歌山県の南)、主に九州南部に生息する。水深10~50mほどの砂地に生きるため、水圧の関係で陸に揚げると弱るし、高温にも弱いので、食べられる地域は限定されてしまう。宮崎は漁場に近いため美味しい旭蟹を食べられる貴重な場所なのだ。

シンプルにして旭蟹の味が一番よくわかる食べ方は、ゆでたり蒸してそのまま食べること。身の繊維は細く、やわらかな甘味がある。蟹みそは濃厚。はさみや足に身が少ない分、甲羅の中には身も蟹みそも詰まっているようだ。醤油と酢をベースにした酸味のあるカニ酢につけていただいても旨い。冬の手前も美味しくなるが、一番の旬は夏。産卵期に入る初夏のメスなら濃厚な卵も味わえる。最後は口の中を怪我しないように気をつけながら殻ごとしゃぶるのがいい。

名前の由来は、生きている時も赤い朝日のような色だからと言われているが、火が入るとその赤色はさらに鮮やかになる。まさに明るい南の海の恵みといえる蟹だ。