九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

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STORY CONTENTS

「九州農家めし」

作り手だからこそ知るとっておきの話

竹崎カニ漁師

大鋸さんの「竹崎カニの味噌汁」

大鋸さんの「竹崎カニの味噌汁」

日の出前の有明海へ船を出す
夫婦で手繰る網にはワタリガニ

11月上旬、朝6時。佐賀県太良町の竹崎漁港では、漁船が次々と日の出前の有明海へと出ていきます。そのうちの一隻、大盛丸(たいせいまる)が目指すのは、沖に仕掛けてある刺し網。漁師で夫の史崇さんとともに船に乗り込んだ大鋸晶江さんは、ワタリガニが網にかかっていることを祈るように水平線を見つめています。

船は時速45kmのスピードで海上を滑るように走ります。前日に水深13~15mに沈めた約500mの長さがある網を史崇さんが引き上げると、手足をバタバタと動かすワタリガニの姿が! 晶江さんは手早くワタリガニを網から外して船内のいけすへ。そしてまた、船は次の網へと向かうのでした。

月の引力が見える町で水揚げ
竹崎カニは甘くて旨味が濃厚!

太良町が面する有明海は、海の干満差が最大6mにもなることから“月の引力が見える町”といわれ、干潮時には広大な干潟が現れます。干潟には河川から豊富な生き物が流れ込み、それを食べて育つワタリガニは最大で約600gになるものも! その中でも竹崎漁港で水揚げされるものは竹崎カニのブランド名が付きます。
竹崎カニは年間を通して捕れますが、性別ごとに旬の時期があります。11月~翌年5月はメスの旬で、しっかりとした甘味のある身と内子が特長。6~10月はオスが旬を迎え、シャキッとした食感とまったりとしたミソが持ち味。時季によって変化する味わいや食感は その時々だけの楽しみです。

プロの勘がものを言う竹崎カニ漁
海の世界は奥が深い!

晶江さんが初めて竹崎カニの漁に出たのは4年前。船に乗らなくていいと言われて結婚したのに気づいたら乗ることになっていたと笑顔で首を傾げながらも、漁は面白いと話します。同じ海でも網を仕掛ける場所によってかかる性別が異なったり、仕掛けるタイミングにもコツがあったりと、漁師歴の長い史崇さんの勘に頼るものも大きく、海の世界の奥深さを感じているそうです。

現在は竹崎カニだけでなく、冬は芝エビ、春はコハダ、夏はビゼンクラゲと、時期をずらしながら一年を通して夫婦で漁に出ています。また、竹崎カニの加工販売も行っており、氷締めまたはゆでた状態で全国に向けて通信販売を行っています。

持続可能な漁業への取り組みも
次の世代につなげられるように

4年前には大鋸さんの船でも1日で約400匹、100kgもの水揚げ量となったこともあるそうですが、気候変動などの影響を受けて現在では半分以下の漁獲高となっている竹崎カニ。史崇さんは地元の漁協が行っている稚蟹の計画的放流に参加するなど、次の世代のための持続可能な漁業への取り組みにも関わってきました。晶江さん自身は、佐賀県出身でありながらも竹崎カニ漁師の家に嫁いで初めてそのおいしさを知ったことから、竹崎カニの魅力をもっと広めたいとSNSを利用した情報発信にも意欲的です。

さて、大鋸家の定番の竹崎カニ料理は味噌汁。カニの殻から出るだしも堪能できる、そのレシピをご紹介しましょう。

九州農家めしレシピ

大鋸さんの「竹崎カニの味噌汁」

大鋸さんの
「竹崎カニの味噌汁」

大鋸家の竹崎カニの味噌汁は、水と竹崎カニ、味噌だけで作ります。漁師だけに、竹崎カニの使い方が豪快! たっぷりの竹崎カニから十分な旨味が出るため、ほかのだしは不要です。シンプルながら、竹崎カニのおいしさをダイレクトに堪能できる垂涎(すいぜん)の一杯。ひと口で目が覚めるようなインパクトのある甘味と旨味を感じるはず。締めたての竹崎カニが一番よくだしが出ますが、ゆでカニで作っても美味。オスとメスの味の違いも楽しんで!
 

材料

  • ・竹崎カニ(生きているもの):7匹
  • ・水:2ℓ
  • ・味噌:100g
  • ・小ネギ:少々

つくりかた

  1. 1

    竹崎カニは氷水に20分ほど漬け、仮死状態にする。

  2. 2

    竹崎カニの口から腹に向かってアイスピックを刺して締める。

  3. 3

    腹を上にして竹崎カニを持ち、腹部にある三角形のフンドシ(腹節)を取り除く。フンドシを取り除いた部分に指を入れ、甲羅をぐいっとはがす。

  4. 4

    腹部の両脇にあるエラを取り除く(食べる際に避ける場合はそのままでもよい)。

  5. 5

    好みの大きさに包丁で殻ごと割る。

  6. 6

    鍋に湯を沸かし、⑤を入れる。水面がぐらぐらするくらいの強火で炊く。

  7. 7

    アクが出たら取り除きつつ、20分ほど煮る。

  8. 8

    火を弱め、味噌を溶く。

  9. 9

    竹崎カニごと椀によそい、小ネギを散らす。