九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

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「九州農家めし」

作り手だからこそ知るとっておきの話

晩白柚農家

森田さんの「晩白柚のわたの砂糖漬け」

森田さんの「晩白柚のわたの砂糖漬け」

ギネス世界記録™認定の重量級!
台湾から熊本に伝わった巨大柑橘

平均的な横径は約25cm、重さは約1.8kg。1月上旬の朝、八代市の選果場に続々と集まった軽トラックの荷台から抱えるようにして運び込まれる柑橘。冬の強い朝日を受けてピカピカと輝いています。

「これが晩白柚です。大きいでしょう」と生産者の森田さん。世界最大級の柑橘といわれ、ギネス世界記録™でも2023年に5kg超の個体が「世界で最も重いザボン類と認定されています。
晩白柚の原産はマレー半島で、熊本県出身の植物学者・島田弥市によって1920年代に台湾へ、そして1930年代に台湾から熊本に伝来。現在では全国の栽培量の約96%が熊本県で栽培されており、中でも八代市が一大産地となっています。

幼少期の記憶に根づく晩白柚
27歳で家業を継ぐことを決断

八代で育った森田さんにとっても晩白柚は幼い頃から身近な果物でした。自宅や近所の庭に当たり前のように晩白柚の木が植えられており、祖父母が生産者ということもあって、食べる機会も多かったそうです。地元の大学を卒業後、畜産関係の企業で働いていたものの、「自分も晩白柚農家になるのかも」と考えていたと森田さんは言います。そして27歳のとき、祖父母が果樹園の経営を辞めると聞き、退職して継ぐことを決めました。

幼少期に祖父母の農作業の手伝いをした経験はありましたが、異業種からの転職は分からないことだらけ。農家となってからの5年間を「とにかくがむしゃらでした」と振り返ります。

贈答用としても人気
見た目も味も妥協しない

晩白柚は11月~翌年3月に収穫。年末年始の贈答品として人気があるため、食味の良さだけでなく、見た目の美しさも重要です。市場では、鮮やかな黄色で左右対称の形が好まれ、ヘタが取れていたり、皮に傷があったりすると贈答用にはできません。

そこで、森田さんはこまめな圃場の見回りを心がけています。病害虫の気配がないか、実に葉や枝が当たって傷が付きそうになっていないかなど、丁寧に確認し、手入れをしています。文字通り玉のように育てられた森田さんの晩白柚は、形がまん丸で皮にハリがある器量良し。収穫後に追熟させ、完熟したものから出荷するため、甘みと酸味のバランスも抜群です。

世界へと広がる晩白柚の可能性
栽培規模拡大でニーズに応える

森田さんは現在、ハウスと露地を合わせた約45aで、晩白柚をメインに、デコポンやパール柑、甘夏なども栽培。2025年度は晩白柚だけで6000玉を出荷予定です。管理は森田さんがほぼ一人で行っていますが、祖母のヨミ子さんも収穫や袋詰めの手助けをしてくれています。

晩白柚はその見た目が縁起が良いと香港でも好評で、「JAやつしろ」を通じて輸出も行っています。2020年には八代産晩白柚がGI(地理的表示)指定を受けるなど世界的ブランドとなりつつあり、森田さんは今後、栽培面積を増やす考えです。

さて、晩白柚には分厚いわたがあります。このわたもおいしく味わえるレシピをご紹介しましょう。

九州農家めしレシピ

森田さんの「晩白柚のわたの砂糖漬け」

森田さんの
「晩白柚のわたの砂糖漬け」

晩白柚は、ほかの柑橘と同様に果肉を食べる果物ですが、外皮と実の間にある白いわたの部分も捨てずに味わいたいもの。わたは実が大きいほど厚くなる傾向があり、23cmの厚さになるものも! そこで、地元では甘く煮て、おやつや茶菓子にしたり、紅茶に入れる砂糖代わりにしたりもします。材料は晩白柚のわたと砂糖だけ。ふわっとした食感で、噛むと晩白柚特有のスッとした清涼感のある香りを感じる、品の良い甘味(かんみ)です。

材料

  • ・晩白柚:1個
  • ・砂糖:適量(晩白柚のわたの重量の1.5倍量)
  • ・水:適量
  • ・仕上げ用のグラニュー糖:適量

つくりかた

  1. 1

    晩白柚は上下を切り落とし、皮に8~10カ所切り込みを入れる。

  2. 2

    わたと実の間に指を入れて皮をむく。

  3. 3

    包丁で削ぐようにして外皮からわたを切り離す。

  4. 4

    鍋に③のわたを入れ、ひたひたの水を注ぐ。

  5. 5

    わたが浮かないように落としぶたをして、火にかける。5分ほど煮てゆでこぼす。この作業を2~3回繰り返す。

  6. 6

    ゆでこぼしが終わったらザルに移し、流水でさっとアクを洗い流す。

  7. 7

    粗熱が取れたら1切れずつ手で挟み、やさしく水気を切る。

  8. 8

    鍋に⑦を入れ、ひたひたの水を注ぐ。砂糖を加えて火にかけ、煮汁がほとんどなくなるまで煮詰める。

  9. 9

    ザル付きのバットなどに広げ、冷蔵庫で完全に冷ます。仕上げにグラニュー糖をまぶす。