九州の食探求メディアKyushu Food Discovery Media

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STORY CONTENTS

「九州農家めし」

作り手だからこそ知るとっておきの話

養豚家

林さんの「味菜自然豚の水餃子」

林さんの「味菜自然豚の水餃子」

野山を駆け、土にまみれて遊ぶ
自然の中でのびのび暮らす放牧豚

長崎県佐世保市江迎(えむかえ)町の山の中。春の雨粒を残した雑木林の一角で、豚がフガフガと鼻を鳴らしながら歩いています。鼻で土を掘ったり、木の根や草をかじったり、寝転んだり…。気の向くままに場所を移動して、また遊んで、と楽しそう。その光景は、豚たちのユートピアのようです。

この環境を整えたのは、養豚家の林拓生さんです。「もとは両親が脱サラして開いた農園でしたが、畑の敷地や山林を徐々に豚の放牧場へと移行しました」と林さん。山の中腹の約5haの土地に14か所の放牧地を点在させ、半年ごとにローテーションしながら半分で豚を育て、残り半分は草木が育つように休ませます。

ホストファミリーの元で知った
「命のすべてを使い切る」考え方

林さんはもともと英語教師を目指していましたが、父親の病気をきっかけに、大学卒業と同時に両親の農園を継ぐことに。帰郷した当初は母の由美子さんと野菜を育てていましたが、林さんいわく「細かい作業が性に合わず」養豚へと転換しました。

豚の飼育方法に放牧を選んだ背景には、林さんが高校時代を過ごしたアメリカでの経験が大きく影響しているといいます。「ホームステイ先の家庭では、庭先で豚を飼っていました。その豚は、肉はもちろん血の一滴も無駄にせずに家族で食べました。愛情を注いで育て、その命に感謝をしてすべてを使い切るという考え方を知り、私は衝撃を受けたのです」。

主食は人間と同じ食材で手作り
腸から健康になれる発酵ごはん

家畜だけど、生きている間は健康で幸せに過ごしてもらいたい。林さんはその思いから、豚を狭い空間に押し込めたり、無理に早く太らせたりすることはせず、自然の中で、のびのびとゆっくり育てることを決めました。

豚は放牧中に木の実や草も食べますが、主食は林さんが毎日手作りしています。林さんは地元の病院や介護施設を訪問し、調理で出る野菜くずや作り過ぎて余ったごはんなどを回収。集めた食材を大釜で雑炊状になるまで煮込み、植物性の乳酸菌で34日かけて発酵させて完成。人間と同様に、発酵食は豚の腸内環境を整え、免疫力を高めるため、抗生剤などの薬に頼らない健康な体に育ち、排泄物も自然に還りやすいそうです。

豚を健康で幸せに育てることが
食べる人のためにもなると信じて

林さんの養豚方法は時間も、手間も、コストもかかります。自由に動き回ってヘルシーな食事を取るため太りにくく、出荷できる大きさになるまで一般的な養豚場の2倍の時間がかかります。妊娠・出産・子育ても基本的には豚に任せるため、予定通りにならないこともしばしば。「それでも、豚にも地球にもストレスをかけない養豚を目指す」ときっぱり。「それが食べる人のためにもなる」と信じているからです。

現在は妻のはなえさんという最大の理解者を得て、2人の子どもにも恵まれた林さん。林家の定番メニューであり、はなえさんの得意料理だという「味菜自然豚」のレシピをご紹介しましょう。

九州農家めしレシピ

林さんの「味菜自然豚の水餃子」

林さんの
「味菜自然豚の水餃子」

林さんの愛情を一身に受けて育つ「味菜自然豚」の肉は、臭みがなく、噛むほどに旨味がじわりと出てきます。また、脂はコクと甘みがあり、後味はあっさりしています。林家で定番の「味菜自然豚」料理は、手作りの皮に肉のおいしさをぎゅっと閉じ込めた「水餃子」。はなえさんにとっては、拓生さんとの結婚を前に祖母から教わった、思い出の嫁入りレシピでもあります。市販の皮でも作れるので、ぜひチャレンジしてみて!

材料

  • 〈皮〉
  • ・強力粉:800g
  • ・水:適量
  • 〈具〉
  • ・豚ひき肉:700g
  • ・長ネギ:3本
  • ・ニラ:1束
  • ・白菜:1/4玉
  • ・塩:小さじ2
  • ・こしょう:少々
  • ・ニンニク:1~2片
  • ・ごま油:ひと回し

つくりかた

  1. 1

    強力粉に水を少しずつ加え、耳たぶくらいの硬さになるまでこねる。濡れ布巾で覆って半日ほど冷蔵庫で寝かせる。

  2. 2

    ネギとニラはみじん切りにする。白菜はみじん切りにして塩もみし、水分をしっかり絞っておく。

  3. 3

    ボウルに豚ひき肉と②、調味料を入れてしっかりとこねる。

  4. 4

    ①の生地を白玉団子ほどの大きさにちぎる。打ち粉をした台にのせ、手で平らに潰し、麺棒などで直径約8cmの円形に伸ばす。

  5. 5

    ④の皮の中央に③のタネをのせ、端を合わせるようにして閉じる。生地同士がくっつくのを防ぐため、打ち粉をしたバットなどに間隔を空けて並べていく。

  6. 6

    全ての具を皮で包み終わったら、閉じ口をもう一度確認し、隙間があれば指先でぎゅっと圧着させておく。

  7. 7

    沸騰した湯に⑥を入れ、浮いてくるまでゆでる。

  8. 8

    ゆであがったら水気を切って皿に取る。

  9. 9

    熱いうちに食べる。好みでポン酢や酢じょうゆを付けても良い。